地方でも活躍する中小企業診断士 生まれ故郷への 恩返しのつもりで
独立に至る経緯
私は40代前半で診断士登録をしましたが、その後の約15年間は企業内に在籍し、ほとんど診断士活動は実施しませんでした。会社の中で役職定年を過ぎ、60歳定年が見通せる年齢になった50代後半の2023年4月に独立しました。この年齢で辞める人はほとんどいない会社であったので、どうして定年前に独立なのかと訝しがられました。私は、個人の力でどこまで社会に認められるのかを試したいとの思いから、今一番やりたい中小企業診断士の活動を1日も早く始めたかったのです。家族の理解が得られ、ちゅうちょなく一部退職金の権利を捨てて年度末に退社し、即独立開業となりました。
香川の診断士協会に入会
住まいのある大阪府中小企業診断士協会には独立の数年前から入会していましたが、独立する直前に香川県中小企業診断士協会(以下、「香川県協会」という)に入会しました。香川県協会への入会理由は、地元の香川に何らかの貢献をしたかったことと、大阪よりも独立診断士が少なく、競争が緩やかではないかと考えたからです。香川には私の実家があり、両親が暮らしているため宿泊が可能であること、高齢の両親から受ける実家に戻ってきてほしいという圧力へのささやかな対応、また高松市内であれば大阪から片道3時間と何とか日帰り可能な範囲であることも理由でした。独立前には、大阪でも香川でもとにかく仕事があればやらせてほしいという思いでした。
入会した後に分かったことですが、香川県協会は独立してばりばり活躍している先輩方が非常に多く、また協会が積極的に独立を支援してくれる新規独立者に非常に優しい協会でした。何の実績もない私に対してもさまざまな仕事を紹介してくださり、独立直後の不安を大きく払拭してくれました。香川県協会のお知らせで応募した中小機構四国本部のアドバイザーに運よく採用され、独立直後から定期的に高松での仕事が始まりました。独立して始めての定期収入となり、非常に心強かったです。
地域活動のために
地元での活動を実践したく、同時期に独立したさぬき市の友人
からの紹介もあり、さぬき市商工会に入会しました。いずれは仕事につながればといった思いでした。出身地なので何十年ぶりかに中高時代の知り合いと再会ができ、旧知の友を探すような感覚もありました。さぬき市商工会と合わせて、香川県の信用保証協会や商工会連合会にあいさつに伺い、専門家登録をしておきました。登録した際には、その後の仕事につながるとは正直思ってもいませんでした。
さぬき市商工会からの専門家派遣
専門家登録から約1年後に、さぬき市商工会より専門家派遣の依頼がありました。地元の木材加工会社が採用で困っているので支援してほしいとのことです。私が人事系の専門家であることをアピールしていたことを、商工会の経営指導員の方が覚えていてくださり、地元のため声が掛かったのです。商工会連合会の専門家登録をしておいて良かったです。
訪問先は、さぬき市の中でも幹線道路からほど遠い海沿いの小さな集落にあり、交通の便が良くないため車での訪問しかできない場所でした。コンビニや飲食店も近くにはありません。周囲は地元の高齢者が多く、若者が集まる場所はありませんでした。
しかし、訪問企業には、木造船舶を含む木材加工の特殊技術があり、素晴らしい作品や実績がたくさんありました。20代、30代の若手も多く、製作を楽しみながらのびのびと働ける環境であると感じました。また、会社の周囲にはとっても開放的な自然が残っています。昼休みには歩いて3分の海に行き、釣りを楽しめる釣り好きにはたまらない環境です。社内の倉庫には、従業員が持ち込んだ多数の釣り竿がありました。
さぬき市商工会でのセミナー講師
考察
地方での活動の一部を記載しましたが、活動の中心は自宅のある関西であり、香川での業務は全体の1~2割程度になります。少ない経験の中ではありますが、地方での活動において、感じた点を記載します。
・人と人とのつながりが強いです。派遣先と商工会との関係が近かったように、緊密な人間関係があり、良いことも悪いこともすぐに伝わるものです。
・地域を大切にしていることのアピールは大切です。自宅から遠隔地での活動はスケジュールの制約が伴いますが、イベントにはできる限り出席し地域のさまざまな方と交流しました。
・私の名刺には香川の住所も入れています。これは、地方で活動する際、地元の人と見られる効果があったと思います。関西で活動する際にも香川の住所は珍しく、話題づくりになりました。
・電車やバスがない( あったとしても本数が少ない) といった地域が多く、移動は車となっています。高松市の中心部で研修をした際にも、受講者のかなりの割合が車での参加でした。なお、セミナーは開催10 分前になっても参加者が少なく、かなり心配しましたが開始直前( 直後? ) に多数来られました。車で近隣から参加するため開始時間に合わせて参加したり、車の中で時間調整して参加する方が多いようです。
おわりに
複数拠点での活動は、乗り物移動や外泊が気分転換になる私にとっては快適です。ただし、宿泊となる場合は特に家族の理解が必要です。(同一地域なので、家族へのお土産はそのうち飽きられます)何事も、ストレスにならないよう、全てを楽しむつもりでやっています。

- 登録番号
中野 誠司
生命保険会社とそのIT 関連会社に35 年間在籍。50 代後半の2023 年に「なかのビジネスサポート」として独立開業。2026 年2 月に法人化。組織・人事領域のコンサルティングと研修講師を実施している。


