スポーツに学ぶ 経営論 明治安田サッカーJ 1 リーグ昇格に向けたクラブ運営について ~三方よしのポートフォリオ戦略~
インタビュー
奈良という地域の方たちとさまざまな 形で連携し、共に経済的に成長していく形を模索してきました。 現在は、スポンサー売上高は拡大しつつも、割合としては52%ま で下げることができました。 市平:チームはJ 3に昇格しつつ、財務面でもポートフォリオ戦略 で改革に成功されたのですね。スポンサー売上を拡大しつつ、そ の割合を下げられたとのことですが、新たなスポンサーの獲得が あったのでしょうか。 濵田:はい、私は奈良クラブの社長ですが、「Amazing Sports Lab Japan社」の社長でもあるので、単に奈良県出身者だから、 奈良県本社だからという理由でスポンサーにはなっていただけない ということは十分に理解していました。ですので、WIN-WINの 関係性の構築に最大限努力しました。おかげで大和ハウス工業株 式会社さまをはじめとする、新たな多くのスポンサー企業さまに応 援いただくことになりました。もちろん、これからもWIN-WINの 関係性構築に努めていきます。 市平:また、若手選手育成(人材育成)にも力を入れておられますね。 濵田:はい、2023年に三郷町の奈良学園大学信貴山グラウンド 跡地に練習場やクラブハウスを併設した新たな拠点「ナラディー ア」を整備しました。これにより、練習場所確保の費用がなくなり、 財政的にも寄与するとともに、ジュニアユース/ユース選手たちが トップ選手たちのプレーを間近で見て強化される⇒アカデミー部門 の繁栄につながるなど、多くのシナジー効果を生み出しています。 市平:チームがどん底の時期に(2020年 入場者数水増し問題に よるJリーグ百年構想クラブの失格処分直後)社長に就任され、 チームの強化と事業面(財務面)の体質を改善するという非常に 難しい2つの課題にチャレンジし、結果を残されてきました。どの ような戦略を立て達成されたのでしょうか。 濵田:2004年6月、FCバルセロナソシオの日本公式代理店として 「Amazing Sports Lab Japan社」を立ち上げ独立。その後、 会社が軌道に乗り出した時、奈良クラブから社長のオファーをい ただきました。クラブ運営に必要な要素を会社経営において経験 していたので、トライしたい気持ちが勝りお受けしました。またチー ムがどん底の時にお受けした方が、思い切った改革ができるとい う確信もありました。 市平:経営者としての経験があったとはいえ、改革には苦労があっ たと思いますが、具体的にはどのような改革を行ったのでしょうか。 濵田:まずは①「徹底したコスト管理」です。あらゆる経費につい て、本当にそれが必要なのか、もっと安くできないかというような ことを確認していきました。その上で、②「固定費として負担が大 きかった人件費の削減」です。本当に痛みを伴う改革でしたが、 スタッフも本当にやる気のあるメンバーだけ残ってもらい、また選 手も若手中心に切り替えました。そして③「新たなスポンサー企業 の発掘」に努めました。 市平:夢のあるJリーグの仕事とはいえ、最初は多くの中小企業 経営者が経験するような痛みを伴う業務改革に努められたので すね。 濵田:はい。起業した際、適切なタイミングで適切なマネジメント をすることが経営には必要であることを痛感していましたので、そ こに迷いはなかったです。ただ、おっしゃる通り、サッカーチーム 運営には夢や理想はマストです。そして、自身の強みであるスペ インサッカー関係者とのパイプを生かして、実績のあるスペイン人 監督フリアン氏を招聘しました。また、県内市町村全てにおいて サッカー教室などを実施することにより、奈良クラブの交流人口を 増やすなど、必要な投資は行っていました。 市平:そこからさらなる改革に努められたのですね。
濵田:はい、躍進の土台は形成できたので、次は自身の強みをさ らに生かした思い切った改革にチャレンジしました。FCバルセロナ (スペイン)とのビジネスで、サッカー選手の育成メソッドだけでな く、経営戦略も間近で学んできましたので、成功のイメージを持っ てチャレンジできました。 市平:具体的には、どのような改革を行ったのですか。 濵田:まずは、財務面での改善です。それまでの奈良クラブは、 スポンサー売上がクラブの収益の83%もあり、非常に経営リスク の高い状況でした(中小企業診断士の皆さんならご理解いただけ ると思いますが 笑)。サッカークラブ本来の収益源であるスポン サー売上、入場料売上、物販売上は伸ばしつつ、それ以外の部 分(アカデミー部門など)で、奈良という地域の方たちとさまざまな 形で連携し、共に経済的に成長していく形を模索してきました。 現在は、スポンサー売上高は拡大しつつも、割合としては52%ま で下げることができました。
市平:チームはJ 3に昇格しつつ、財務面でもポートフォリオ戦略 で改革に成功されたのですね。スポンサー売上を拡大しつつ、そ の割合を下げられたとのことですが、新たなスポンサーの獲得が あったのでしょうか。 濵田:はい、私は奈良クラブの社長ですが、「Amazing Sports Lab Japan社」の社長でもあるので、単に奈良県出身者だから、 奈良県本社だからという理由でスポンサーにはなっていただけない ということは十分に理解していました。ですので、WIN-WINの 関係性の構築に最大限努力しました。おかげで大和ハウス工業株 式会社さまをはじめとする、新たな多くのスポンサー企業さまに応 援いただくことになりました。もちろん、これからもWIN-WINの 関係性構築に努めていきます。 市平:また、若手選手育成(人材育成)にも力を入れておられますね。 濵田:はい、2023年に三郷町の奈良学園大学信貴山グラウンド 跡地に練習場やクラブハウスを併設した新たな拠点「ナラディー ア」を整備しました。これにより、練習場所確保の費用がなくなり、 財政的にも寄与するとともに、ジュニアユース/ユース選手たちが トップ選手たちのプレーを間近で見て強化される⇒アカデミー部門 の繁栄につながるなど、多くのシナジー効果を生み出しています。
市平:まさしく、濵田社長の強みが生かされたシナジー効果ですね。 濵田:FCバルセロナとのビジネスで学んだ、単にサッカーチーム が強いだけでなく、スポンサー、サポーター、選手を含んだチー ム関係者、全てが満足するようなポートフォリオ戦略をこれからも 皆さんのお力をいただきながら、進めていきたいと思います。 市平:最後に、大阪府中小企業診断士協会のメンバーに一言、 お願いします。 濵田:サッカーの試合だけでなく家族みんなで楽しめるようなイベ ントなどを毎回、数多く実施しています。ぜひ、ロートフィールド 奈良(奈良市鴻ノ池陸上競技場)にお越しいただき、楽しい休日を 過ごしていただければと思います。
インタビューを終えて
華やかなイメージのあるJリーグの世界であるが、濵田社長は先 行した経営者としての経験を生かし、ポートフォリオ戦略、シナ ジー効果戦略など、中小企業の経営にとって必要不可欠なことを、 タイミングを図りかつ勇気を持って実施されていたのが印象的で あった。 2031年のJ1昇格という中 長期的な目標を掲げておられ るが、実現することをサポー ターの一人として心より祈念し たい。

- 登録番号
市平 和久
2023年登録。東日本大震災の復興支援に携わっ
た経験から診断士取得を決意。ケアビジネス研究
会所属。趣味はサッカー(見ること)、テニス。



